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パンチグラフト植毛を知ると自毛植毛が分かる - 自毛植毛を詳しく解説

 パンチグラフト植毛は自毛植毛のかなり昔の手法で、少なくとも日本で実施しているクリニックはないはずです。でも、パンチグラフト植毛の手法を知っておくことは、自毛植毛を理解するためにとても役立ちます。そもそも自毛植毛の歴史は植毛株サイズの変化の歴史でした。自毛植毛が広まった1960年代は、パンチグラフト(フルサイズグラフトともいう)が一般的に使用されました。今では、仕上がりが不自然だとか、人形の髪のようだと揶揄されるパンチグラフトですが、20年ほどは支持されていただけあって、ちゃんとした医師によりちゃんと最後まで植毛手術を受けていれば、よい仕上がりが期待できました。

 1回の手術につき、15本ほどの髪を含んだ直径3−4mmの円形の株を、50から100株ほど間隔をおいて植えられました。これ以上大きな株だと、中心部が脱落してしまうため、当時としては最小の単位でした。逆にこれより小さな株(現在のマイクログラフトのように)にしてしまうと、手術時間が膨大に長くなり、効率よくドナーが生きたまま手術することが困難でした。そのパンチグラフトは、植毛先で栄養を取り合わないように、間隔をあけて植毛されました。後頭部からドナーを採取する方法は現在と同じです。でも1回の手術は、2−3時間という短時間で終わりました。そして3ヶ月後に、1回目で間隔をあけて植毛されたその間隔へ、2回目の手術で新たな植毛株を植えていきました。この1回目の手術後の状態が、パンチグラフト植毛に悪い評判を与えました。後頭部と同じ密度で15本ほどかたまった髪を、間隔をおいて植えるので束のように見え、質の悪い人形の髪のように不自然になってしまったのです。電気プラグが何十本も頭にささっているようにも見えたため「プラグ」と呼ばれたり、「工事中」と表現されたりしました。

 その後ちゃんと4、5回ほどの完全なパンチグラフト植毛手術を完了すると、結構自然な仕上がりになりました。でも、たまに手術費が続かないなどの理由で途中でやめてしまうケースもあり、不自然な状態のままで終わってしまうことがありました。パンチグラフトの最大の欠点は、完成して完全に堂々と社会復帰できるまでに1年近くかかることです。特に最初の6ヶ月が大変で、2回目の手術が終わって、2回目の株が生えそろった6ヶ月目ぐらいになってようやく、ある程度気にならないぐらいになりました。それまでの6ヶ月はとてもつらい状態です。また、1つ1つの植毛株が大きいので、傷跡が目立つのも特徴です。カサブタが広範囲にできたり、植毛跡が分かりやすくなります。そのため、手術後数週間は包帯を巻いた状態になることもありました。その期間は、長期休暇を取るか、家にこもるか、かつらをするなどの方法を取るしかありませんでした。人々に悪い評判を与えていたのは、この6ヶ月間があったからです。

 さらにパンチグラフト植毛の欠点として、比較的小さな範囲の薄毛しか対応できなかったことがあげられます。マイクログラフトであれば、ほぼ1−3本単位に植毛するので、密度を自由に調整して植毛することができます。でも、パンチグラフトの場合、15本ぐらいがついた1株を使うので、ドナー部分の密度の濃さに従うしかありません。利用できる後頭部の髪にも限度があるので、狭い範囲しかカバーできません。手術後にハゲがさらに進行すると、植毛部分と地毛部分の境目が広がっていくという現象も起こりました。また、面積が広めの株を植毛するので、合併症などの手術的なミスもありえました。

 さらに価格が高額なのも特徴です。手術自体がマイクログラフト植毛と比べて難しいのと、マイクログラフト植毛ほど一般的に普及しておらず、価格競争が無かったのも理由です。1980年代の値段でも、7500ドルから25000ドルほどかかったそうです。しかし、このパンチグラフトが自毛植毛進化の原点となり、その後のグラフトサイズの縮小化やドナー部の縫合テクニックなど、現在の技術につながる礎となりました

 パンチグラフト植毛のデメリットをまとめると以下になります。マイクログラフト植毛が誕生したことで、パンチグラフトのデメリットがすべて解消されたことが分かります

パンチグラフトのデメリット
・3ヶ月ほどおきに4−5回手術しないと完了しない。
 →マイクログラフト植毛では、1回でも充分結果が得られる
・最初の6ヶ月は工事中のような、人形の髪のような不自然な髪の状態になる。
 →マイクログラフト植毛では、1回目の手術後から自然な髪のデザインになる
・1つ1つの株が大きいので、手術後の傷跡が数週間とても目立つ。
 →マイクログラフト植毛では、数日ほど細かなカサブタが目立つだけ
・1つ1つの株が大きいので、植毛先のまだ生えている髪の上にかぶせるようになり、生き残りを救えない。
 →マイクログラフト植毛では、既存の髪をさけて間に植毛することができる
・手術後にハゲが進行すると、植毛部分と自毛部分の境目が広がっていく。
 →マイクログラフト植毛では、手術時に将来ハゲる部分を補強することもできるし、別の手術で補強することもできる
・値段が高い
 →マイクログラフト植毛も消して安くは無いが、パンチグラフトに比べて手術が容易なため格安である

 一つだけパンチグラフト植毛がマイクログラフトより良かった点といえば、1回の手術時間が2−3時間と短かったことぐらいです。



  更新日: 2007年11月 8日


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